【心から心へ伝える】
文は是れ糟粕(そうはく)、文は是れ瓦礫なり。
糟粕瓦礫を受くれば則ち粋実至実(すいじつしじつ)を失う。
~性霊集より引用~
「文章というのは残りかすや瓦礫のようのものだ。文献だけで学ぼうとすれば、最も大事な本質を失うことになってしまう。」
この文章は、最澄が理趣釈経(りしゅしゃっきょう)を空海に貸してくれないか、と依頼した手紙への返書です。
空海は中国の古典をはじめ、膨大な経典・文献で学んでおります。書物の重要さ、ありがたさを誰よりも感じている空海が「文章は残りかすだ、ガラクタだ」と強く言っているのは理由があります。
空海は、正しい方法によって教えない行為は仏を欺くとしており、「密教の奥義は秘密の教え。師匠から弟子へ、心を以て心に伝えるもの。文字で伝えることはとらない」としております。
素晴らしい教えも、誤った方法で学んでは真髄に触れることは不可能です。
現代はリモートが進んで便利にはなりましたが、やはり人の心に届けるには六感をフルに活用していきたいですし、我々も密教のすばらしさを日々学んで正しく発信しないといけないです。