マンダラの中心をなす宇宙で最高の仏・大日如来
密教に於ける仏像とは、何か? 仏教の信仰対象である仏の姿を表現した像のこと。仏の世界にも大きくわけて4グループに分類されています。細かく紐解き説明し、日々の生活に役立たせたいと思います。
曼荼羅は、サンスクリット語で「マンダラ」の音を写した言葉です。「完成されたもの」「本質を有するもの」の意味です。
つまり仏の悟りの本質そのものをさし、視覚を通じて真理を得ます。
日本に密教が請来した時に曼荼羅もきました。お大師様は、「密教の教えは奥深くて、言語・文字で表現することは困難であるから、かりに図面をもって密教の大生命の世界をまだ知らない人々に示す。」と言われています。
曼荼羅には宇宙のシステムが表現されています。そこに描かれた仏菩薩や神々の色・形・位置・持ち物などすべてが宇宙の真理を表しており、それを目で見ることにより、人は宇宙の真理との交流を体験することができます。
曼荼羅とは。 われ【人間】と仏【人格化された宇宙生命】との交流を軸に、仏の全体性【宇宙の真理】を描いたもので、図絵以外でもさまざまに表現されています。
大曼荼羅・三昧耶曼荼羅・法曼荼羅・羯磨曼荼羅の4種である。
大曼荼羅・・・仏菩薩や神々を具体的な姿・形で表現した曼荼羅で、ふつうに見る絵画で(マンダラ)といえばこれを指します。
三昧耶曼荼羅・・・諸尊をその姿ではなく、持物法具や印相などのシンボルで表した曼荼羅です。金剛杵、鈴、縄などがある。
法曼荼羅・・・宇宙の本源的な音声からでた、声や文字で表現された曼荼羅です。音や声は,絵で表現出来ないので、梵字で表現されて います。 諸尊が梵字一字に集約され描かれます。経典も梵字で書かれているので曼荼羅の一種になります。
羯磨曼荼羅・・・仏像を経典の規定に基づいて並べた立体的な曼荼羅のことを指します。京都・東寺講堂の立体曼荼羅は有名です。羯磨とは、サンスクリット語のカルマの音訳で、活動とか行為の意味です。風のそよぎ、小川のせせらぎ、天体の運行、現象世界はそのまま羯磨曼荼羅とみなされる。
真言宗寺院の本堂の両側に一対として掛けてある胎蔵界と金剛界の両部曼荼羅は、なじみ
深いでしょう。それぞれの曼荼羅の性質を比べてみましょう。
胎蔵界曼荼羅の構造
胎蔵曼荼羅は、大日如来の真実(理)をあらわす曼荼羅です。
金剛界曼荼羅は、その真実(理)にいたるまでの知恵と実践(智)を表現しています。
この2つの曼荼羅は、あわせて大日如来の本質と活動(理智)を示しているわけだから、本来ひとつのものなのであるが、真実をそれぞれに伝える役目を担う為に2つにわかれています。
胎蔵曼荼羅は、本堂の東側に掲げてあり、「大日経」を基本に描かれています。
細かく言えば、大悲胎蔵生曼荼羅といいます。
人間が本来もっている、母親の胎内に眠る胎児のような仏性の種子が、仏の慈悲によって目覚め、育ち、花咲かせ、悟りという実を結ぶ過程を描いたものです。
その中心は、中央の八葉の蓮華をかたどった中台八葉院である。その蓮のうてなに大日如来が座し、8枚の花弁に四仏・四菩薩が配置されています。内なる仏性が悟りとして実を結ぶ過程を、泥中に美しい花を咲かせる蓮華で象徴しています。
この曼荼羅は、仏の大悲の心がいかに、我々の人間世界に開くかを示すものなのです。
金剛界曼荼羅の構造
金剛界曼荼羅は、本堂の西側に掲げてあり、「金剛頂経」を基本に描かれています。
金剛とは、ダイヤモンドのように固いという意味です。
金剛界曼荼羅は、ダイヤモンドのように堅固な悟りを本体とする曼荼羅という意味です。
描かれている世界も胎蔵界が、仏の大悲の心が人間世界に開いていく過程を見せるのに対し、金剛界は我々の心の動き(識)が、仏へと届く過程を表現しています。
この曼荼羅は、9つの部分に分かれているので、九会曼荼羅(くえまんだら)とも呼ばれます。
九会のうち、中央の成身会が基本になります。正方形の大きな円内に、5個の白円が描かれていますが、これは月輪です。お釈迦様が月を観想して悟った(五相成身観)を現しています。
成身会の中央の白円に大日如来が座し、周囲に36尊が配置されています。
この大日如来を囲み、東南西北(金剛界曼荼羅では、上が西になる)4体の如来が位置します。東に阿閦・南に宝生・西に阿弥陀・北に不空成就です。
この4如来の周囲も36尊が配置されるが、胎蔵曼荼羅の400余の諸尊を、4と4の倍数で整理し、体系化したところに金剛界曼荼羅の特徴があります。
両部曼荼羅をみていくと、如来・菩薩・明王・天などが、平等に配置されて、中央に位置する大日如来の性格の一部分を担っていることに気づきます。密教においては、大日如来がすべての中心に居られるわけです。
真言・・・ オン アビラ ウン ケン (胎蔵界)
種字・アーク
真言・・・オン バザラダト バン (金剛界)
種字・バン