沖縄県那覇市の密教護摩祈祷、祈願寺

修行中の真魚は、大日経を発見し決意する。唐に渡らなければならない。官僧になる為に受戒した。真央は空海として生まれ変わり、遣唐使船に乗り込んだ。唐で貪欲に学ぶ空海に運命的な出会が訪れる。




唐に行く。一世一代の大仕事である。

一介の私度僧にすぎない真魚にとって異国の国に行くことは、夢野の又夢である。それは、選ばれた、ごく一部の人しか行けない夢物語だからです。

真央は、そんな事まったく気にせず唐に渡ることに必要な事をする。ただそれのみである。（しがない私度僧真央が、莫大な資金を集められたかの不思議な話は、後日お話いたします。）

唐に渡れる最低条件は、まず官僧　　【官僧（かんそう）とは、天皇から得度を許され、戒壇において授戒をうけた仏僧のこと。出家した者は、授戒をうけることで正式な僧尼として認められた。官僧は、「養老律令」僧尼令や「延喜式」に規定された様々な制約にしばられていた反面、数々の特権があたえられていた。】　になることだ。
真魚は、奈良の東大寺にて正式に得度した。この時　804年4月　名前を「空海」と改めた。空海様31歳の誕生である。

翌月には、第16次遣唐使の第一船に乗り込み難波津を主帆。瀬戸内海～九州・田ノ浦に到着。7月6日ここを発ち唐にむかった。だが、次の日、尋常ではない暴風に襲われた。だが天は空海を見捨てなかった。

なんと、なんとゆうことか！第一船の前の突然、神々しい観音菩薩が現れた。すると、まるで、嘘のように嵐が鎮まった。空海様の乗る船は、九死に一生を得た。だが、第三、第四船は海に沈んだ。空海様の乗る船も予定の進路を大きく逸れて漂流すること1カ月、唐の最南部・福州長渓県の赤岸鎮という僻地にたどり着いた。


嵐に見舞われた船を護った観音菩薩（高野山竜光院蔵）

ついについに、憧れの大唐についた喜びで感動した。だが、福州の役人は上陸を拒んだ。なぜなら、かつてこのような南方の地に日本から使者が着いた事がなく、一行を信用しなかった。

一行の大使　藤原葛野麻呂は福州の役人に何度も上陸願いを申し出たが、まったく取り合って貰えない。万事休すの一行だと思われた時に、空海様のずば抜けた才能・教養がものをいった。大使の依頼で、上陸願いを代筆した。その名文、名筆ぶりに福州の役人は驚倒し、直ぐに中央に報告し正式に遣唐使と認められ、ようやく上陸をみとめられた。福州から長安までの4000キロの長く困難な旅を経てやっと長安城　明徳門をくぐった。




天下の大帝国・唐の中心の都長安。この都は世界中のあらゆる文化、思想が集まる国際色豊かな大都市である。大寺院が立ち並び、日本では見たことの無い世界中の宗教が集まっていた。街角では、艶やかな衣装を身にまとった人々が行きかい大唐の栄華のすべてがこの都に集まっていた。

空海様の心は燃えていた。
「ここにある密教を、ここにあるすべてのものを私は必ず学びとると。」